宇治

観光都市

世界文化遺産の平等院や宇治上神社を有する観光都市である。風光明媚な宇治川ラインの風景は、平安貴族たちに好まれ、「源氏物語宇治十帖」など文学の題材とされてきた。また、茶どころとしても高名である。

宇治

宇治について

基本情報

名称
宇治(うじ)
指定
平等院・宇治上神社(世界文化遺産)、平等院庭園(国史跡・国名勝)、隼上り瓦窯跡・宇治川太閤堤跡(国史跡)、宇治の文化的景観(国重要文化的景観)
所在地
京都府宇治市
サイト
宇治市観光協会

概要

京都市の南東に位置し、京と奈良を結ぶ交通の要衝として古来から開けた。 世界遺産の平等院や宇治上神社を有する観光都市である。 琵琶湖を源流とする瀬田川は宇治川と名前を変え、風光明媚な風景は平安貴族に好まれ、貴族の別荘地となった。 さまざまな詩歌の題材とされ、「源氏物語」の最末尾にあたる45帖から54帖(宇治十帖)は、宇治を主要な舞台として描かれた。 宇治市では源氏物語をテーマとしたまちづくりを積極的に推進している。 また、茶どころとしても知られ、老舗茶問屋や茶匠の名跡の多くが市内にある。

見所

神社
宇治上神社 - 明治維新までは宇治神社と一対をなし、その上社であった。 現存する日本最古の本殿は1060年頃の建立で、拝殿は宇治離宮の遺構ともいわれ、共に国宝。その文化的価値から、境内が世界文化遺産に指定されている。
宇治神社 - 応神天皇の皇子 莵道稚郎子が、兄の仁徳天皇との皇位を巡る葛藤から宇治川に入水し、その霊を祀ったことが由来といわれる。明治維新までは、宇治上神社と一対で「宇治離宮明神」と称され、その下社であった。
県神社 - 宇治平等院の裏鬼門に鎮座する神社で、藤原頼通が平等院を創建した際、その鎮守社として創建された。例祭「あがた祭」は、梵天渡御で家々も明かりを落とすため、「暗闇の奇祭」とも称され、数万人の見物客で賑わう。
許波多神社 - 競馬発祥の神社といわれる645年創建の延喜式内社。古代から「競べ馬」の神事が執り行われていたといい、往時の馬具が社宝として今に残る。平安時代の鐙と室町時代建立の本殿は、国の重要文化財に指定されている。
橋姫神社
十八神社
白山神社
巨椋神社
寺院
平等院 - 宇治を流れる宇治川左岸にある単立寺院で、世界遺産に登録されている。末法元年の1052年、藤原頼通によって創建された。国宝鳳凰堂には、定朝の遺作である国宝阿弥陀如来像が安祀され、西方極楽浄土を具現している。
浄土院 - 平等院鳳凰堂の背後に建つ浄土宗寺院で、天台宗最勝院と共に平等院塔頭二ヶ寺の一つ。室町時代、荒廃していた平等院修復のために開創した。現在の平等院は、浄土院と最勝院の住職が交代で管理を行っている。
最勝院
放生院
萬福寺 - 中国明代の渡来僧・隠元隆琦により、1661年に創建された黄檗宗大本山。日本の一般的な仏教寺院とは異なった景観や作法が特有の中国式寺院で、当寺で食すことができる中国風精進料理の「普茶料理」は有名である。
興聖寺 - 曹洞宗の開祖・道元が最初に開いた禅刹で、曹洞宗最初の寺院である。法堂縁側の血天井は、伏見城の遺構が使われている。また、ヤマブキやカエデが茂る参道は「琴坂」と称し、宇治十二景の1つに数えられている。
三室戸寺 - 本山修験宗の別格本山。770年、光仁天皇の勅願により創建したものと伝わる。「花の寺」として大変知名度が高く、シーズンには、つつじ園、しゃくなげ園、あじさい園が開園し、多くの参拝客が来訪する。
恵心院 - 「往生要集」の「恵心僧都」源信によって再興された真言宗智山派の古刹。源信は、「源氏物語」宇治十帖でのヒロイン浮舟を助けた「横川の僧都」のモデルと云われている。四季折々の花が咲く「花の寺」である。
地蔵院
能化院
観光地
宇治橋 - 646年に架けられたと伝わる「日本三古橋」のひとつ。古今和歌集、源氏物語、能の橋姫伝説、また、豊臣秀吉が三ノ間から茶の湯を汲ませた逸話も有名である。現在の橋は、平成8年に架け替えられたもの。
宇治公園 - 宇治川中州にある橘島と塔ノ島を合わせて「浮島」と称される。放生院(橋寺)の十三重石塔が建っている。夏には付近一帯で「宇治川花火大会」や風物詩の「宇治川の鵜飼」が行われ、観覧船から鑑賞できる。
宇治川ライン - 宇治川上流に昭和39年完成の天ヶ瀬ダムや天ヶ瀬吊り橋がある。ダム湖は鳳凰湖と命名され、桜や紅葉の名所である。
三栖閘門(みすこうもん) - 昭和四年、宇治川と伏見城外堀の濠川とを結ぶ舟運のために建造された。現在は、河川公園として整備され、資料館がある。
観月橋 - 鎌倉時代末期、月見のために巨椋池に浮かぶ島に渡るための桂橋だったといわれる。鳥羽・伏見の戦いで焼失後、明治6年に架けられた。
大吉山展望台 - 仏徳山中腹にある休憩所。麓の宇治の街並みを一望できる。
源氏物語ミュージアム - 宇治市では源氏物語をテーマとしたまちづくりを積極的に推進し、その中核をなす施設。平成20年にリニューアルした。
歴史資料館 - 宇治に関する歴史・地理・民俗・考古の資料を収集保存している。調査研究の成果を展覧会や講演会の開催、図書の刊行によって紹介している。
対鳳庵 - 宇治茶の振興と茶道の普及を目的に建てられた市営茶室。平等院の鳳凰堂に相対していることから、「対鳳庵」と名付けられた。
茶業センター - 京都府茶協同組合茶業センターで、「宇治茶ふれあい教室」が行われている。ビデオ鑑賞、茶香服、淹れ方、石臼体験、仕上加工実演など。
三休庵宇治茶資料館 - 宇治茶の歴史や文化に関する研究の成果と上林三入の資料を見学できる。また、茶室で抹茶作り体験や宇治の高級抹茶の石臼による挽きたて方を学ぶことができまる。
上林春松本店 - 創業永禄年間(1558~1569年)の老舗茶問屋。江戸時代は、御物茶師として宇治を仕切った。製茶工場では見学を受け付けている。宇治茶の資料館である上林記念館では、茶の資料や製茶道具を展示する。
福寿園宇治工房 - 寛政二年(1790年)の創業。宇治川のほとりに「宇治茶工房」、平等院表参道に「宇治茶菓子工房」がある。
伊藤久右衛門本店 - 天保三年(1832年)の創業。創業地である宇治田原では、現在も伊藤家に代々受け継がれる茶園で茶づくりを続けている。
炭山工芸村 - 昭和43年、新たな築窯地を求めていた京都市東山一帯の陶工たちが、開拓精神で入村し、京焼の新たなる窯業地とした工芸村。
朝日焼窯芸資料館 - 400年前の初代から15代に渡って茶陶として伝承された朝日焼の作品展示を行っている。また、陶芸教室や展示販売もある。

歴史

270年~310年
この地に応神天皇の離宮があり、宇治神社と一対で「宇治離宮明神」や「離宮社」、「離宮八幡」とも称されていたと伝わる。
312年
「日本書紀」によれば、応神天皇の皇子 莵道稚郎子が、兄の仁徳天皇との皇位を巡る葛藤から宇治川に入水したとある。
645年
蘇我倉山田石川麻呂の奏上により、孝徳天皇が、中臣鎌足に命じて許波多(木幡)に皇祖を祀る神殿を創建させたと伝わる。
646年
元興寺の僧道登が宇治川に宇治橋を架けたと伝わる。
770年
光仁天皇の勅願により南都大安寺の僧行表が三室戸寺を草創したと伝わる。
9世紀
光源氏のモデルとされる源融が営んだ別荘があり、陽成天皇の離宮となった。
998年
離宮が宇多天皇に渡り、孫の源重信を経て、藤原道長が譲り受け、別荘「宇治殿」となった。
平安時代中期
「源氏物語」の最末尾にあたる45帖から54帖(宇治十帖:橋姫・椎本・総角・早蕨・宿木・東屋・浮舟・蜻蛉・手習・夢浮橋)は、宇治を主要な舞台として描かれた。
1027年
藤原道長が逝去し、宇治殿は子の藤原頼道に引き継がれた。
1052年
「末法思想」の元年、藤原頼通は平等院を創建し、宇治神社が鎮守社とされた。
1053年
阿弥陀堂(鳳凰堂)が建立され、京都から運ばれた阿弥陀如来像が安置された。
1060年頃
宇治上神社の現本殿が建立された。
1180年
以仁王の令旨を奉じ平家討伐のために挙兵した源頼政が、宇治での戦いに敗れ、平等院で自刃した。
1184年
源義経と源義仲が宇治川東岸で戦った。(梶原景季と佐々木高綱の宇治川の先陣争い)
1221年
承久の乱では、宇治川西岸に北条泰時が、東岸に後鳥羽上皇軍が陣を敷き、境内には幕府の陣が敷かれた。
1486年
山城国一揆の国人たちの評定が平等院で行われ、畠山政長と畠山義就軍の撤退などを要求した。
桃山時代
伏見城の築城にあたり、豊臣秀吉によって宇治川や巨椋池の改修が行われた。槇島堤を築くことで巨椋池に流れていた宇治川の流れを伏見へと変えた。
1661年
萬福寺が創建された。
江戸時代
幕府の新田開発奨励で巨椋池の干拓が行われた。
明治30年
淀川改良工事が行われ、宇治川と巨椋池が分離された。
昭和8年~16年
巨椋池の水質が悪化し、漁獲高の減少や蚊が大量発生しマラリアの流行などにより、国営干拓事業によって農地化され姿を消した。
昭和26年
久世郡の宇治町、槇島村、小倉村、大久保村と宇治郡の東宇治町が合併して宇治市が誕生した。
昭和28年
台風で宇治川の堤防が決壊し干拓地に巨椋池が復活する災害が起きた。
昭和39年
昭和28年の洪水を契機に、宇治川上流に天ヶ瀬ダムが造られ完成した。
平成6年
「古都京都の文化財」として、平等院と宇治上神社がユネスコの世界文化遺産に登録された。

撮影後記

 ここでは、宇治の有名寺社以外の風景を紹介しています。

更新履歴

2013年6月25日
初版をアップロードしました。
2013年12月31日
携帯電話・スマートフォン専用壁紙を休止しました。
2014年1月1日
一部の無料壁紙を会員限定の閲覧に制限しました。

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