十輪寺

なりひら寺

「伊勢物語」の主人公とされる在原業平の閑居跡で、「業平寺」とも称される天台宗の古刹。業平は晩年、裏山に残る塩竈跡で塩焼きの風情を愉しんだと伝わる。春には、三方普感の庭に見事なしだれ桜が天蓋の如く覆う。

十輪寺

十輪寺について

基本情報

山号寺号
小塩山十輪寺(おしおざんじゅうりんじ)
別称
業平寺(なりひらでら)
宗派
天台宗
創建
不詳 - 850年、文徳天皇勅願所となる。
開基
恵亮
本尊
地蔵菩薩 - 秘仏腹帯地蔵尊。
札所
京都洛西観音霊場第三番
駐車場
無料駐車場あり
交通機関
JR向日町駅、阪急東向日駅から阪急バス小塩下車すぐ
住所
京都府京都市西京区大原野小塩町481

概要

平安時代初期には成立していた天台宗の古刹。 「伊勢物語」の主人公とされる在原業平が晩年の閑居跡で、「なりひら寺」とも称される。 文徳天皇が染殿皇后の世継ぎの子の安産祈願で、後の清和天皇が誕生されたことから、文徳天皇の勅願寺となった。 応仁の乱で焼失し、江戸寛文年間、藤原北家の花山院家が帰依して再建され、花山院の菩提寺となった。 本尊の秘物延命地蔵菩薩は、子授けや安産に御利益があるとされる。 境内には業平の墓と伝える宝篋印塔や業平が晩年に塩焼きの風流を愉しんだ塩竈跡が残り、「小塩」の地名はこれに由来している。 春には、三方普感の庭に見事なしだれ桜が天蓋の如く覆う。

見所

観光名所
本堂 - 1750年、右大臣 藤原常雅によって再建。屋根は御輿を模した鳳輦形(ほうれんがた)という非常に珍しいもの。
鐘楼 - 1666年の創建。不迷梵鐘(まよわずのかね)が吊られている。
三方普感の庭(さんぽうふかんのにわ) - 1750年の本堂を再興した時に作庭。高廊下、茶室、業平御殿の三ヶ所の見る位置によって、さまざまに普感(仏の遍万している大宇宙を感じること)できるといわれる。
業平墓 - 在原業平の墓と伝わる宝篋印塔。
業平の塩竈跡 - 在原業平が晩年に塩焼きの風流を愉しんだと伝わる。かつての恋人であった二条后(藤原高子)が大原野神社に参詣された折、塩を焼いて立ち昇る紫煙で想いを伝えたという故事がある。恋愛結婚成就に御利益がある。
延命地蔵菩薩 - 伝教大師作と伝わる秘仏本尊。御腹に巻かれた腹帯で染殿皇后が安産されたことから「腹帯地蔵尊」と称される。年1回開帳される
草分観世音 - 花山法皇自作の観音といわれる。西国三十三番霊場詣りの者は、一番最初にお参りをしなければならない観世音とされる。
花山法皇の御手判 - 花山法皇の手形が浮き彫りになっている木片。
襖絵 - 三十二面の在原業平と二条后の舞などの描かれた王朝絵巻。廃仏毀釈によって失われたが復元された。
しだれ桜 - 推定樹齢150年~200年の枝垂れ桜。茶室から手枕で横になって眺めると桜の傘のように見え「天蓋の桜」とも。

行事

2月3日
節分・竹願干巻心経
5月28日
業平忌三弦法要
8月23日
御本尊御開帳
11月23日
塩竃清祭(しおがまきよめさい) - 在原業平の故事を偲んで行われる催事。塩竈から立ち上る紫煙に亡き人を偲んだという平安時代の習慣を彷彿とさせる。

歴史

850年
文徳天皇が、染殿皇后(そめどのこうごう)の世継誕生を祈願し、懐妊・安産祈願のため伝教大師作の延命地蔵を安置されたといわれる。その後に清和天皇が誕生されたことから文徳天皇の勅願寺となった。
応仁の乱
伽藍が焼失。
1661~1673年
藤原北家の花山院定好(かざんいんさだよし)が帰依して再建され、藤原家の菩提寺となった。
1750年
本堂などが再建された。

撮影後記

 お邪魔したのは、お目当ての銘桜咲く頃。 あまり知られていないらしく、訪れる人も少なかったので、お寺の方と桜談議が弾みました。
 善峯寺からココ十輪寺のある辺りは小塩町といいます。 業平は晩年、塩焼の風流を楽しんだといわれ、「小塩」の地名の由来といわれています。 裏山には、「業平の塩竈跡」があります。 元カノであった二条后が大原野神社に参詣された折に、塩を焼いてその想いを伝えたといわれる故事がある塩釜です。 塩を焼くとは何ぞやと調べたところ、平安時代の貴族は、塩を焼いてその煙を楽しむ嗜好があったとのこと。 紫色の煙を天高く上げ、大原野神社にいるであろう二条后に、その想いの丈を伝えたそうです。
 さらに裏山には、業平の墓と云われる宝篋印塔もあったので、業平についても調べてみました。 俗に平安のプレーボーイとも云われるためか、業平ゆかりの場所は日本各地にあって、東国の東京にもありました。 先日、隅田川花火大会に行ってきたのですが、浅草の隅田川にかかる「言問橋(ことといばし)」も業平の詠んだ歌に因む場所だそうです。 東京大空襲での悲しいお話もありますが、一青窈の「一思案」という曲で、「白地図を埋めたかったのに言問橋で初恋を落としてしまった娘」というフレーズを知っていたので印象に残りました。

更新履歴

2011年9月7日
初版をアップロードしました。
2012年1月17日
ギャラリーに作品を5点追加しました。
2012年1月18日
十輪寺についてを加筆修正しました。
2013年12月31日
携帯電話・スマートフォン専用壁紙を休止しました。
2014年1月1日
一部の無料壁紙を会員限定の閲覧に制限しました。

十輪寺紀行のコメント

コメント欄

はじめまして。当山に参拝してくださいまして、ありがとうございます。なりひら桜は、今年も満開です。また、お参りくださいませ。

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