岩倉

隠棲療養地

かつての愛宕郡岩倉村に相当し、岩倉・幡枝・中・長谷・花園地区がある。古来、官営の瓦窯があり、貴人の隠棲地となっていた。近世には精神病の療養地として茶屋が多く設けられ、近代の保養所へと発展していった。

岩倉

岩倉について

基本情報

名称
岩倉(いわくら)
指定
歴史的風土特別保存地区(38h)、歴史的風土保存区域(97h)
所在地
京都府京都市左京区岩倉

概要

松ヶ崎丘陵の北方に位置する都市近郊地域で、かつての愛宕郡岩倉村にほぼ相当する。 岩倉盆地中央部を岩倉川、西部を長代川、東部を長谷川、南部を花園川が流れ、川沿いにそれぞれ岩倉地区、幡枝地区、中・長谷地区、花園地区がある。 石座神社旧鎮座地の山住神社に祀られている巨石を神々の降臨する磐座(いわくら)と崇めたのが、「岩倉」の地名の由来となっている。 平安時代には平安京造営の瓦を製造した官営の瓦窯があり、貴人の別荘地・隠棲地となっていた。 近世には実相院や聖護院などの寺社領、公家領として特権を享受した。 また精神病の療養地として茶屋が多く設けられ、近代の保養所へと発展していった。

見所

国史跡
岩倉具視幽棲旧宅 - 岩倉具視が幽棲した旧宅で、国の史跡に指定されている。公武合体を進めた具視は、倒幕急進派の弾劾を受け岩倉村に蟄居した。幽棲中に倒幕派へと変更し、薩摩藩や朝廷内の同志たちが訪れ、王政復古の密議が行われた。
栗栖野瓦窯跡 - 栗栖野瓦窯は、平安京の内裏や東寺・西寺の瓦を製造した官営の瓦窯。「延喜式」に記載された小野栗栖野両瓦屋の一方である。
国登録文化財
旧上田恒次家住宅 - 木造平屋一部2階建の主屋は昭和前期の建築で、伝統的な民家意匠の外観。主屋南東方に位置する登窯は煉瓦造で、陶芸家居宅の屋敷景観を形成する。
市文化財
中の谷4号窯 - 木野町にある平安時代に灰釉陶器を焼成した窖窯(あながま)。
市環境保全地区
石座神社 - 石座神社文化財環境保全地区に鎮座する石座(いわくら)神社は、岩倉の産土神として信仰が篤い神社である。997年、隣接する大雲寺の鎮守社として勧請されたのが起源。毎年秋には、旧岩倉村の6町内の6座による松明神事「岩倉の火祭」が執り行われる。
観光名所
円通寺 - 1678年創建の岩倉にある臨済宗妙心寺派の禅寺。この地には後水尾天皇の幡枝離宮があり、霊元天皇と乳母の文英尼に御幸御殿と庭園が下賜され創建された。国の名勝庭園は、比叡山を借景とする枯山水庭園として有名。
妙満寺 - 1389年創建の顕本法華宗総本山。秀吉時代に下京妙満寺町から寺町二条に移転し、昭和43年に街中の喧騒を避けるため現在地に落ち着いた。本坊の枯山水庭園は「雪の庭」と称され、冠雪の比叡山を借景とする。
実相院 - 1229年創建の単立寺院。「岩倉門跡」と称され、皇室や摂関家が住持に就いた。黒床に映り込む楓は、新緑の季節は「床緑(床みどり)」、紅葉の季節は「床紅葉(床もみじ)」と称され人気が高い。
大雲寺 - 971年に紫式部の曽祖父である藤原文範が創建した天台寺門宗系の単立。岩倉観音とも称される。園城寺(三井寺)の別院で興隆したが、山門派との抗争により衰退した。寛永年間(1624年 - 1644年)旧寺地から近くの岩座神社東側に再建された。
心光院 - 1645年に創建された浄土宗鎮西派の寺院。本尊阿弥陀如来坐像は平安時代後期の作。両脇侍の観音菩薩跪坐像、勢至菩薩跪坐像は室町時代の作。いずれも国の重要文化財に指定されている。
山住神社 - 石座神社の旧鎮座地で御旅所となっている。971年に大雲寺鎮守の神として遷座された。社殿が存在しない古神道の神社で、裏山を神南備山と仰ぐ巨石を神々の降臨する磐座と崇め、「岩倉」の地名の由来となっている。
長谷八幡宮 - 長谷、花園、中の三か村の総鎮守。平安時代には皇居の艮(北東)に当ることから、国家鎮護の社として祀られていた。社殿は下鴨神社の社殿を移築したもの。
幡枝八幡宮 - 894年創建の旧幡枝村の産土神。社名は石清水八幡宮から枝分かれした分社の意。桃山時代の名工 堀川国広は、南麓に涌く石清水で鍛え、後水尾天皇をはじめ金属関係業者からの崇敬が厚い。末社に針供養が行われる針神社がある。
愛宕神社 - 旧木野村の産土神。古来から愛宕権現として知られ防火の神として信仰を集める。木野は古来から土器の里であり、土師器皿(かわらけ)焼成に使う窯が境内に復元されている。
国立京都国際会館 - 宝が池公園に隣接する国際会議施設。昭和41年に日本初の国立会議施設として大谷幸夫の設計で開設された。付属施設として日本庭園がある。

歴史

平安時代
山城国愛宕郡栗野(くるすの)郷に属し、貴人の別荘地や隠棲地とされた。
971年
大雲寺が創建された。
1229年
実相院が創建された。
1389年
妙満寺が創建された。
1469~1487年
近江佐々木氏被官の山本氏が小倉山城を築き支配した。
1568年
織田信長軍によって小倉山城が落城し、禁裏御料地となった。
江戸時代
寺社領、公家領、禁裏御料地として特権を享受し、精神病の療養地として茶屋が多く設けられた。
1645年
心光院が創建された。
1678年
円通寺が創建された。
明治4年
木野村が岩倉村に編入された。
明治22年
町村制施行で、岩倉村・長谷村・中村・花園村・幡枝村が岩倉村に統合された。
昭和3年
鞍馬電気鉄道(現叡山電鉄)が開通し、岩倉駅と木野駅が開業した。
昭和24年
愛宕郡岩倉村が京都市左京区に編入された。
昭和41年
国立京都国際会館が開設された。
平成9年
京都市営地下鉄烏丸線が国際会館駅まで延伸された。

撮影後記

 今まで撮影したなかに、個別に取り上げるほどでもない(絵的に)寺社が含まれているので、ひとまとめにして「岩倉紀行」として公開しています。

更新履歴

2015年9月27日
初版をアップロードしました。

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