上賀茂

上賀茂神社の神領

もと愛宕郡上賀茂村で、上賀茂神社を中心とした上賀茂地区と西北部の柊野地区に分かれる南北に細長い地域である。平安京遷都以前から賀茂氏一族が居住し、長らく上賀茂神社の神領とされてきた由緒ある土地である。

上賀茂

上賀茂について

基本情報

名称
上賀茂(かみがも)
指定
歴史的風土特別保存地区(上賀茂地区37h)、歴史的風土保存区域(上賀茂松ケ崎地区341h)
所在地
京都府京都市北区上賀茂

概要

京都市北区の賀茂川左岸及び賀茂川十三石山に至る南北に細長い地域。 もと愛宕郡上賀茂村。 上賀茂神社を中心とした上賀茂地区と上賀茂村の枝郷として成立した西北部の柊野(ひらぎの)地区に分かれる。 上賀茂神社の北に位置する神山(こうやま)は、上賀茂神社祭神の賀茂別雷命が降臨した山とされる。 平安京遷都以前から賀茂氏一族が住んでいた土地で、長く上賀茂神社の神領とされてきた由緒ある地域である。 上賀茂神社南東一帯は、社家と町屋が一体となった優れた歴史的風致を形成し、国の重要伝統的建造物群保存地区となっている。 また深泥池や太田神社の大田ノ沢は、かつて京都盆地が湖であった頃の面影を残すものである。

見所

国史跡
上賀茂神社 - 下鴨神社と共に賀茂氏の氏神を祀る賀茂社を成し、正式名称は「賀茂別雷神社」。京都で最も古い神社と云われ、世界文化遺産に登録されている。また、平安装束で巡行する賀茂神社の祭事である葵祭は有名である。
国重伝建地区
上賀茂社家町(上賀茂地区) - 上賀茂神社南東一帯は、社家と町屋が一体となった優れた歴史的風致を形成し、国の重要伝統的建造物群保存地区となっている。社家は神社に仕えてきた世襲神官の屋敷で、室町時代には社家の門前町が形成されたとみられる。
国天然記念物
深泥池(深泥池生物群集) - 周囲1.5kmの深泥池(みどろがいけ / みぞろがいけ)は、かつて京都盆地が湖であった頃の面影を残すものとして貴重。夏には浮かび上がり冬には沈んで冠水する浮島がある。氷河期以来生き続けてきた生物と共に、水生植物、昆虫、魚類、野鳥等が共生し学術的にも貴重である。
大田ノ沢カキツバタ群落 - 上賀茂神社境外摂社の大田神社境内の大田ノ沢には杜若25,000株が自生している。平安時代からの名所とされ、尾形光琳の「燕子花図(かきつばたず)」のモデルとされたともいわれる。大田ノ沢自体も京都盆地が湖であった頃の面影を残すものとして指定されている。
市天然記念物
柊野のチリツバキ - 樹高8.8m、幹周は東幹で1.01mで、花は赤と白の咲き分けである。花弁がそれぞれ離れて散る「散椿」で、全国的に見ても有数の規模のツバキとして貴重なものである。
市登録文化財
井関家住宅 - 上賀茂神社の社家で弘化4年(1847年)の建築とされる。主屋は鳥居型の内玄関と式台を並べ、妻面を柱と貫で飾る。望楼風の三階部分の石水楼は明治元年の増築で、他に土蔵や表門が残る。
観光名所
柊野貴船神社 - 鞍馬の貴船神社から江戸時代に分霊されたといわれる。例年7月下旬に、稲穂につく害虫を集めて追い払う「虫送り」神事が行われる。
神山 - 標高301.5mの山で、上賀茂神社祭神の賀茂別雷命が降臨した山とされる。上賀茂神社境内には、神山を擬して砂で作った円錐状の「立砂」2体が祀られている。
十三石山 - 柊野地区と雲ケ畑の境界に聳える標高495.5mの山。山年貢が十三石だったことに由来するといわれる。かつて上賀茂神社領であったこの山は、雲ケ畑三村と度々論争がおこり、明治初期には雲ケ畑村の所属になったこともある。

行事

毎月10日
大田神社の巫女神楽 - 大田神社で奉納される巫女神楽で、節分や2月24日のさんやれの際にも行なわれる。奉仕は大田神社の刀禰の家に限られ、銅拍子、鼓、締太鼓の奏者と巫女の4人で構成される。(京都市登録無形民俗文化財)
2月24日
上賀茂さんやれ(幸在祭) - 15歳を迎えた男子は「あがり」と呼ばれ、元服を祝う祭り。「おんめでとうござーるー」と言い、お囃子で大田神社、上賀茂神社へと練り歩く。(京都市登録無形民俗文化財)
5月5日
賀茂競馬 - 上賀茂神社境内で行なわれる競馬で、寛治7年(1093年)5月5日に初めて開催されたと伝わる。かつては20頭の馬が左右に分かれて10番勝負を行なうのが通例となっていたが、現在は2頭ずつ5番勝負となっている。
5月15日
葵祭(賀茂祭 本祭) - 天皇から遣わされた勅使を京都御所に迎える「宮中の儀」、御所で人馬が列を整える「進発の儀」、平安貴族に扮した王朝行列が下鴨神社を経由し上賀茂神社へ向かう「路頭の儀」、それぞれの社頭で勅使が御祭文を奏上し御幣物を奉納する「社頭の儀」からなる。
5月15日
上賀茂やすらい祭 - 「やすらいや花やー今年の花はよう咲いた花やー」の掛け声とともに、赤熊(しゃぐま)と呼ばれる小鬼が、太鼓を叩き鉦を奏でて舞い踊る。花傘の中に入ると無病息災に過ごせるといわれる。
9月8日
上賀茂紅葉音頭 - 上賀茂神社鳥居前で踊られる。音頭取りの音頭に合わせ、浴衣姿の男衆と、三幅前垂に襷がけ、手拭で姉さんかぶりをした女衆が、萩の葉で葺いた屋台の回りを輪になって踊る。(京都市登録無形民俗文化財)
9月9日
烏相撲(からすすもう) - 上賀茂神社境内において、重陽の神事の後、東の祝方と西の禰宜方とに分かれて行なわれる。相撲は地取や烏鳴きの儀が行なわれた後に、氏子域の小学生により執り行われる。(京都市登録無形民俗文化財)

撮影後記

 下鴨名物がみたらし団子なら、上賀茂名物は乳酸発酵漬物の「すぐき漬」です。 大根と似ている京野菜のひとつ酸茎菜(スグキナ)が原料で、上賀茂周辺の限られた農地でしか生産されていません。 すぐき菜と交配してしまうのを避けるため、上賀茂一帯では菜の花を作付けしてはいけないそうです。
 なお、上賀茂神社の南東一帯の社家と町屋が一体となった上賀茂地区は、「上賀茂社家町紀行」として別ページに掲載しています。

更新履歴

2015年10月20日
初版をアップロードしました。

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