海蔵寺

鎌倉一洗練された花寺

扇谷上杉家当主の氏定が源翁禅師を開山に請じて1394年に再興された臨済宗の寺。本尊薬師如来の胎内には仏面を納入し、禅師の「殺生石」伝説は有名である。年中花が絶えることなく、鎌倉一洗練された花寺と云えよう。

海蔵寺

海蔵寺について

基本情報

山号寺号
扇谷山海蔵寺(せんこくざんかいぞうじ)
宗派
臨済宗建長寺派
創建
1394年(応永元年) - 開創は1253年(建長五年)。
開山
心昭空外(源翁禅師)
開基
上杉氏定 - 扇谷上杉家当主。
本尊
薬師如来
札所
鎌倉三十三観音26番、鎌倉二十四地蔵15番、鎌倉十三仏7番(薬師如来)、東国花の寺百ヶ寺 鎌倉7番
駐車場
無料駐車場あり
交通機関
鎌倉駅西口徒歩20分
住所
神奈川県鎌倉市扇ガ谷4丁目18-8

概要

扇ガ谷にある臨済宗建長寺派の寺である。 1253年(建長五年)鎌倉幕府6代将軍 宗尊親王の命により藤原仲能が創建した真言宗寺院が起源である。 鎌倉幕府滅亡で焼失し、1394年(応永元年)鎌倉公方 足利氏満の命で、扇谷上杉家当主 上杉氏定が心昭空外(源翁禅師)を開山に請じて再興された。 禅宗様仏殿である薬師堂に安置される薬師如来坐像の胎内には、心昭空外が赤子の泣き声で土中から掘り出したと伝える仏面を納入し、「啼薬師(なきやくし)」「児護薬師(こもりやくし)」と呼ばれる。 鳥羽院をたぶらかせた白狐が那須に逃げて「殺生石」という石に化け、源翁禅師がこれを退治する逸話は有名であり、大きな金槌を意味する「玄能・玄翁(げんのう)」の語源となった。 朱肉の痕跡がある「殺生石」のかけらが寺に伝わっている。 住職によってよく手入れされた境内は、花暦豊富で洗練されており、「東国花の寺百ヶ寺 鎌倉7番」となっている。

見所

市文化財
木造薬師如来及び両脇侍菩薩像 - 本尊薬師如来坐像の胎内には、心昭空外が赤子の泣き声で土中から掘り出したと伝える仏面を納入し、「啼薬師」「児護薬師」と呼ばれる。61年ごとに開帳される。
木造古位牌 - 薬師堂内祭壇に応永30年(1423年)、永正12年(1515年)の位牌が並んでいる。彼岸供養の際に安置されたものといわれる。
石造板碑 - かつて十六の井の壁面に嘉元四年(1306年)銘の阿弥陀三尊来迎図を刻んだ板碑がはめ込まれていた。(鎌倉国宝館寄託)
石造板碑
観光名所
本堂 - 関東大震災で倒壊後、大正14年に再建された。「龍護殿」とも呼ばれる。中央に心昭空外像、前に釈迦如来像、右に十一面観音像を安置。
薬師堂 - 1776年頃に浄智寺から移築したもの。薬師三尊像、十二神将像、達磨大師像、弘法大師像などを安置する禅宗様の仏殿。
山門 - 江戸時代の再建。修理時に台輪から応仁二年(1468年)の墨書が発見された。
庫裏 - 1785年の建立。二階建て茅葺き屋根で、鎌倉を代表する庫裡建築。
十六の井 - やぐら床面に縦横各4列、計16の丸穴があり水が湧き出している。壁面に石造観音菩薩像、石造弘法大師像が安置されている。弘法大師が掘った「金剛功徳水」とも、心昭空外が霊告で掘り出した際に観音菩薩像も出てきたという。
雨宝殿 - 本堂西側の手前から三つ目のやぐら。かつて人頭蛇身の宇賀福弁財天の御神体を祀っていた。現在、弁財天像は本堂に安置されている。

歴史

鎌倉時代
この地にあった関東十刹第九位の法泉寺が廃寺となった。
1253年
宗尊親王の命により藤原仲能が創建した。
1333年
鎌倉幕府滅亡の際に焼失した。
1394年
鎌倉公方足利氏満の命で、上杉氏定が心昭空外を開山に請じて再興した。
室町時代
扇谷上杉家の庇護を受けた。
1577年
建長寺の末寺となった。

撮影後記

 鎌倉「花五山」(海蔵寺、長谷寺、東慶寺、光則寺、浄智寺)のなかで寺域は最小だと思うのですが、隅々まで無駄なく考えられて庭木を植栽されています。 京都や奈良でも、こういったタイプの庭は他に思い浮かびません。
 それから「困ったときの海蔵寺頼み」というカメラマン仲間の決まり文句があります。 他所で花が咲いていない時期でも、一年を通じて花の絶えることがない海蔵寺に来れば、なにかしらの花写真を撮ることができるという意味です。 このフレーズを知らない地元カメラマンはもぐりでしょう。

更新履歴

2015年11月14日
初版をアップロードしました。

海蔵寺紀行のコメント

コメント欄

ご無沙汰しております。
海蔵寺のアップを楽しみにお待ちしていました。
よく訪れるお寺さんですので、撮影の時の参考にさせて戴きたいと思います。
ところで、2010年4月下旬の「オオデマリと露仏」ですが、もしかして浄光明寺ではないでしょうか?
私の勘違いでしたら大変申し訳ないのですが、気になりましたのでコメントさせて戴きました。

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