サムエルコッキング苑

植物庭園

江の島頂上部にある観光施設で、明治期の貿易商人コッキング氏が、東洋最大の近代的温室をもつ植物庭園を造営したことが前身となっている。苑内に立つ展望灯台「江の島シーキャンドル」からは、関東一円が見渡せる。

サムエル・コッキング苑

サムエル・コッキング苑について

基本情報

名称
サムエル・コッキング苑(さむえるこっきんぐえん)
指定
県史跡名勝(江の島)
駐車場
専用駐車場なし
交通機関
小田急片瀬江ノ島駅徒歩20分、江ノ電江ノ島駅徒歩25分、湘南モノレール湘南江の島駅徒歩27分
所在地
神奈川県藤沢市江の島2丁目3
サイト
江の島シーキャンドル

概要

江の島頂上部にある藤沢市が運営する観光施設で、苑内に江ノ島電鉄が経営する江の島シーキャンドル(江の島展望灯台)が立っている。 横浜外国人居留地で貿易商社を経営したアイルランド出身のサムエル・コッキング(Samuel Cocking)が、明治時代に東洋最大の近代的温室をもつ「コッキング庭園」を造営したことが前身となっている。 その後、事業失敗や関東大震災で温室上屋が倒壊し荒廃するが、戦後間もなく観光地開発の一環として藤沢市が用地買収し「江の島植物園(江ノ島熱帯植物園)」が開園した。 平成15年に「江の島サムエル・コッキング苑」としてリニューアルオープンした。 苑内にはコッキング氏の温室遺構、世界各国の姉妹都市の広場などがあり、コッキング氏が植栽したというクックアロウカリア、シマナンヨウスギなどの珍しい亜熱帯植物が自然状態で植生している。 江の島シーキャンドルの展望台からは、伊豆半島、富士山、東京都心などが望め、夜間はライトアップされる。

見所

県史跡・名勝
江の島シーキャンドル(江の島展望灯台) - 昭和26年に日本初の民間灯台として設置された「江の島灯台」が前身。平成14年の江ノ島電鉄開業100周年記念事業の目玉事業として江の島観光灯台「江の島シーキャンドル」が翌年オープンした。展望台サンセットテラスからは360度の眺望が利き、相模湾、伊豆半島、房総半島、富士山、東京都心などが望め、夜間はライトアップされる。
コッキング氏温室遺構 - 関東大震災で温室上屋は倒壊したが、煉瓦を主体とした温室基礎部分、池、ボイラー室、貯炭庫、貯水槽、地下通路、防風壁や集水用陶管などの遺構が残っている。
熱帯植物 - コッキング氏がコレクションした熱帯植物に加え、市立熱帯植物園時代に植栽されたリュウゼツランなどが見られる。
マイアミビーチ広場 - 姉妹都市のアメリカ合衆国フロリダ州マイアミビーチ市にちなみ、東洋のマイアミビーチ「片瀬海岸」とヨットハーバーを見渡すウッドデッキの広場。フレンチトーストカフェ「LONCAFE」が営業している。
昆明広場 - 姉妹都市の中国雲南省昆明市にちなみ、中国伝統建築の四阿(あずまや)騁碧亭(ていへきてい)と昆明碑記、孔雀のブロンズ像が設置されている。別名「春澤園」と呼ばれる。
ウィンザー広場 - 姉妹都市のカナダオンタリオ州ウィンザー市にちなみ、カナディアンローズが植えられているバラ園。
松本市広場 - 姉妹都市の長野県松本市にちなみ、なまこ壁の休憩施設と双体道祖神を象った記念碑がある。そば道場「松本館」では蕎麦打ち体験、手打ち蕎麦がいただける。
保寧広場 - 姉妹都市の韓国忠清南道保寧(ぽりょん)市にちなみ、夏から秋にかけては国花ムクゲ、2月~3月には市花ツバキが開花する樹木広場。寄贈された2基の石塔が立っている。
市天然記念物
クックアロウカリア - コッキング氏が明治15年頃に植栽した。ジェームズ・クック(キャプテン・クック)が安永3年(1774年)南太平洋パイン諸島で発見した。亜熱帯植物が自然状態で栽培される地とし日本最北限といわれる。
シマナンヨウスギ - コッキング氏が明治15年頃に植栽した。ジェームズ・クックが安永3年(1774年)南太平洋パイン諸島で発見した。ナンヨウスギ科で最も樹形が美しく、原産地では乱伐のため絶滅している。
ツカミヒイラギ - 昭和8年に植物学者の牧野富太郎博士によって命名されたツカミヒイラギの原木。先が裏にまいて、つかんでも痛くないところから命名された。
タイミンチク群 - 南西諸島から沖縄に分布。別名「ツウシチク(通糸竹)」と呼ばれる。高緯度の地で自然状態で成長しているのは非常に珍しい。

行事

1月1日
江の島展望灯台から見る初日の出 - 予約制で御来光が眺められる。
1月
江の島ウィンターチューリップ - 約2万本のチューリップが開花する。「湘南の宝石」のチューリップのライトアップもあり。
2月中旬
バレンタインアイランド江の島 - 関東三大イルミネーション「湘南の宝石」ラスト1週間を飾る各種イベント。
4月5日頃
ダイヤモンド富士 - 営業時間が延長されたシーキャンドルから富士山頂に夕日が沈む光景が見られる。
4月下旬~6月上旬
江の島フラワーフェスタ - アートイベント、イベントステージやサンセットテラスでのライブなど。
8月第1火曜日
江の島花火大会 - 片瀬西浜沖で打ち上げられる。湘南海岸で唯一打ち上げられる2尺玉が見物。サンセットテラスでのライブ。
9月6日頃
ダイヤモンド富士 - 営業時間が延長されたシーキャンドルから富士山頂に夕日が沈む光景が見られる。
11月下旬~1月下旬
江の島シーキャンドルライトアップ - 「湘南の宝石」のランドマーク的存在。

歴史

明治13年
コッキング氏が現在の亀ヶ岡公園の土地を購入し別荘を建築した。
明治15年
コッキング氏が金亀山与願寺(現在の江島神社)の菜園敷地を買収し、庭園の造営を開始した。
明治18年
コッキング氏が温室を建設した。
大正12年
関東大震災により温室上屋が倒壊した。
戦前
荒廃した。
昭和23年
藤沢市がコッキング庭園跡地を買収した。
昭和24年
「藤沢市立江ノ島熱帯植物園」が開園した。
昭和25年
江ノ島鎌倉観光(現在の江ノ島電鉄)の委託経営となり、「江の島植物園」と改名した。
昭和26年
読売遊園(後の二子玉川園)にあった落下傘塔を移築し、日本初の民間灯台「読売平和塔」(江の島灯台)を建設した。
昭和39年
江の島植物園が再び藤沢市の経営となった。
平成14年
改修工事でコッキング氏の建設した温室設備や縄文土器類を発掘した。
平成15年
江の島シーキャンドル(江の島展望灯台)がオープンし、旧江の島灯台は解体された。「江の島サムエル・コッキング苑」としてリニューアルオープンした。

撮影後記

 戦後間もなく江の島のある片瀬が鎌倉市から藤沢市に編入され、市が江の島の観光地開発プロジェクトとして開園した歴史があります。 コッキング氏は苑の南側にある亀ヶ岡公園に別荘を営み、別荘の向かい側に回遊式庭園と東洋趣味を反映した亜熱帯植物園を造営しました。 しかし晩年、取引先の銀行倒産に伴って事業縮小を余儀なくされ、大正3年に横浜の自宅で逝去しました。

更新履歴

2015年10月31日
初版をアップロードしました。

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